研究課題
平成22年度の研究において、次世代核酸医薬として有望な、含ホウ素核酸類縁体(ボラノホスフェートRNA)の立体選択的固相合成法の開発を重点的に行った。2'-OMe修飾を有するリボヌクレオシド誘導体に関して、リン原子の立体が制御されたモノマーユニットの合成法を確立し、高収率で高純度の目的物を合成する手法を確立した。合成したモノマーを用い、固相担体上で2量体を合成することにより、縮合反応、ボラノ化反応、脱保護反応条件の最適化を行った。縮合反応における活性化剤として、従来法で用いられるものよりも活性の高い化合物を見出し、迅速かつ高立体選択的に縮合反応を行うこと層できた。この活性化剤は、酸性度が高く、縮合反応中に、核酸合成で従来用いられる5'-水酸基の保護基であるDMTr基の脱離が懸念されるため、酸性条件下より安定なMMTr基へと保護基を変更した。また、従来のホスファイト中間体をボラノ化する反応条件では、核酸塩基が還元される副反応が進行するが、反応溶媒、試薬等の条件を詳細に検討したところ、副反応がほとんど起こらない反応条件を見出した。これらの新規反応条件を用いて、リン原子の立体が制御された2'-OMeウリジル酸ボラノホスフェート2量体の合成に成功した。さらに、長鎖オリゴマーの固相合成を試みたところ、目的とするリン原子の立体が制御された2'-OMeウリジル酸ボラノホスフェート10量体の合成に成功した。以上、本研究の成果は、siRNAやアプタマー等の化学修飾型核酸医薬の研究分野に大きく貢献することが期待できる。
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