1、ATP蛍光センサーの開発 我々が開発した"青色蛍光RNA"(修飾ヘキスト色素とそれを特異的に捕捉するRNAアプタマーのペア)をATPに対するアプタマーとコミュニケーションモジュールを介して結合させた蛍光アプタマーセンサーを開発した。これにATPが結合するとモジュール部分に構造変化が起こり、蛍光RNA部分が活性形になり青色蛍光を発する仕組みになっている。これにより、ラベル化の必要のないATPセンサーが実現した。 2、回転阻害を基軸とするオン/オフ型BODIPY色素の開発 赤色蛍光を発するBODIPY色素の有用性に着目し、これに置換フェニル基で修飾した種々の誘導体を合成した。これら誘導体の蛍光は溶媒の極性にはあまり依存しないが粘度に大きく依存し、これがBODIPY本体とフェニル基をつなぐ単結合の回転阻害に基づくことが明らかになった。置換フェニル基が酵素の阻害剤となる場合、酵素が結合することにより自由回転が阻害され蛍光強度が増大し、結果として酵素の蛍光センシングが可能となる。このような知見に基づき、抗生物質耐性菌の蛍光センシングを目的とした抗生物質(カナマイシン)置換BODIPYの合成にも成功した。耐性菌が有する抗生物質修飾酵素の結合により蛍光がオン状態になるように仕組まれている。 3、RNA転写モニタリングのためのRNAアプタマーの取得 置換基としてトブラマイシンを有するトブラマイシン-BODIPYを特異的に捕捉するRNA配列をSELEX法により選択・増幅した。詳細は平成23年度になるが、かなり濃縮度(進化度)の高い配列(アプタマー)が得られた。
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