研究概要 |
超好熱始原菌Thermococcus kodakarensis KOD1株のゲノム上遺伝子のうち、転写制御因子として機能推定されているTK1041, TK1261, TK1881, TK1883, TK2190について、それぞれ遺伝子破壊株を作製し、栄養豊富な培地にてその増殖特性を検討した。またtranscriptome解析を行い、それらのregulonを確定した。個々の遺伝子破壊株において、宿主株と転写産物量が増加した遺伝子は以下の通りである。TK1041破壊株ではTKO699/TKO698 (Zinc-dependent protease)の転写産物量が顕著に増加していた。TK1261破壊株ではTK2012/TK2011 (Ferredoxin/Iron-molybdenum cofactor-binding protein)の転写産物量が顕著に増加していた。TK1881破壊株ではTKO699/TKO698 (Zinc-dependent protease)、TK1840 (Cobalt-activating carboxypeptidase)の転写産物量が顕著に増加していた。TK1883破壊株ではTK1840の他、TKO683 (glyoxylate reductase)の転写産物量が顕著に増加していた。TK2190破壊株ではTKOO39 (Archaeal flagellin)の転写産物量が顕著に増加していた。興味深いことに、異なる転写制御因子が同一遺伝子を制御していることが判明し、Thermococcus kodakarensis内には予想されたものよりも複雑な遺伝子発現制御ネットワークが存在することが示唆された。
|