研究概要 |
先天的に遺伝子に存在し、個の体質差に関わるSNP、及び後天的に生じ、癌などの重篤な疾患を引き起こす遺伝子の一塩基変異を、(1)DNA, RNAを対象とし、(2)正確・高感度・迅速・簡便・定量的にかつ均一系で検出し、(3)当該遺伝子の発現を核酸医薬により不活性化することで、総合的に疾患の予防、治療あるいは症状の改善等に寄与する分子標的機能化核酸分子の開発を目的として以下の研究を実施した。 【1】 遺伝子変異の診断法開発:遺伝子変異に起因する骨髄増殖性疾患の疑いのある患者(34名:連携研究者所属医療機関よりインフォームドコンセント後に検体入手)の遺伝子に対し、開発中の架橋型蛍光核酸プローブによる検定試験を行い、遺伝子変異の有無判定が可能であることを確認した。本試験研究では患者血液由来のDNAを入手し、変異遺伝子を短時間(増幅を含め2時間以内)で診断することが出来た。また、患者遺伝子における遺伝子変異率と発症との関連を評価するためには変異の定量的判定が求められるが、1%の変異まで検出可能であった。 【2】 RNAのリアルタイム検出:血清飢餓状態の子宮頚癌細胞における前癌遺伝子の外部刺激(増殖因子:EGF)に対応するトランスクリプトーム解析を、ピレン型蛍光核酸プローブによる検出システムを構築して実施した。対象RNAのEGF刺激に対応して発現するmRNAを時空間的に解析することが出来た。引き続き白血病細胞を用いたライブイメージングを試み、本経費で可能になった3次元蛍光イメージングシステムを併用することで、球形の血球内のmRNAの局在が同定可能であるという期待出来る予備結果を得、検討を進めている。 【3】 遺伝子発現制御:ncRNAなどが関わる遺伝子機能発現機構(RISCが関与)をアンチセンス機構で制御する試みの前段階として、RISCの蛍光RNAプローブによる検出を試みた。結果、RISC・プローブ複合体由来と考えられる蛍光画像を得ることが出来た。次年度の重要課題である
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