研究課題
タンパク質、ペプチドなどの構造を高い空間分解能と時間分解能で制御できれば、様々な利用法があり、特に、生体内計測分析や医療への利用が期待できる。そこで本研究では、タンパク質やペプチドなどの生体関連分子に光応答性を付加し、得られた光応答性分子の構造を光制御するとともに、その構造変化に基づいて機能を光制御する。これまでにCysGly銅錯体をアゾベンゼン誘導体で連結し、照射光の波長を変えることにより、二つの銅サイト間の距離を変え、DNA切断活性を制御することに成功した。しかし、銅錯体は酸化的にDNAを切断する可能性があり、人工酵素などには適さない。本年度は、加水分解的にのみDNAを切断する亜鉛錯体を新しく合成したアゾベンゼン配位子で連結した。得られた複核亜鉛錯体のトランス体に355nm付近の紫外光を照射するとシス体に、シス体に430nm付近の可視光を照射するとトランス体に可逆的に変換できた。また、複核亜鉛錯体のシス体のほうがトランス体よりもDNA切断が速く、切断によりDNAのコンフォメーションは超らせん構造から損傷環状構造に変化した。以上の結果より、2つの亜鉛錯体をアゾベンゼン誘導体で連結し、DNA切断活性を光制御することに成功した。軟体動物や節足動物の酸素貯蔵・運搬タンパク質であるヘモシアニンの酸素付加体を作製した。乳酸存在下、様々な条件でヘモシアニンの酸素付加体のフラッシュフォトリシス測定を行い、それぞれの条件で酸素結合定数を求め、乳酸がヘモシアニンの酸素結合挙動に与える影響に関する研究論文をまとめた。また、光応答性を示すことが期待されるシトクロムc多量体の一酸化炭素付加体を作製した。
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