水溶性鉄ポルフィリン(FeTPPS)とパーメチル化β-シクロデキストリン二量体(Py3CD)からなる超分子(hemoCD)をポリアクリル酸や金ナノ粒子へ修飾することにより、糸球体ろ過されないヘモグロビン(Hb)あるいはミオグロビン(Mb)モデルの創製を行った。これらのサイズを大きくしたhemoCDは糸球体ろ過されにくいことを見出し、体内に長く留まるHb/Mbモデルとなることを明らかにした。さらに超分子系の医薬品化学への応用として、hemoCDの高い一酸化炭素捕捉能が、ラット血液中の内因性一酸化炭素除去剤として機能することを見出した。一方、火災時にCO中毒と同時に問題となる青酸の除去にはhemoCDは不向きであったため、新たな青酸イオン除去剤としてIm3CD/Fe(III) TPPS超分子系を開発した。この超分子は血液中の血清タンパク質との相互作用が弱いため、ヒドロキソコバラミンよりも優れた青酸イオン除去能力を示した。
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