研究課題
有機トランジスタ、有機太陽電池において、有機薄膜中のグレイン内の配列は制御できても、グレイン間の電荷輸送に劣るために、電流を効率よく外部に取り出すことは困難である。そこで、有機溶媒に分散可能な化学修飾単層カーボンナノチューブを用いて、ドナー・アクセプターからなるナノメートルサイズの微粒子を自己組織化的に架橋し、光照射下での光電流増幅効果を色素増感太陽電池において検討した。その結果、ドナー・アクセプターナノ微粒子間を化学修飾単層カーボンナノチューブで架橋した3元複合体を酸化スズ半導体電極に泳動電着した場合、化学修飾単層カーボンナノチューブがない参照系よりも約2倍の光電流増幅効果が観測された。以上より、カーボンナノチューブは1次元状の電荷輸送材料として優れた特性を有していることを見いだした。一方、グラフェンは2次元状の電荷輸送材料としての利用が期待されているが、有機・無機材料との階層的な複合化は困難であり、またグラフェンのパイ電子系がどの程度電荷輸送能に影響を与えるかよくわかっていない。そこで無機・有機材料の超分子的な自己組織化を介して、亜鉛ポルフィリン、酸化亜鉛ナノ粒子、部分還元された酸化グラフェンを階層的に酸化スズ半導体電極上に組織化させた。その結果、この3元複合体は電極上で亜鉛ポルフィリン励起状態から酸化亜鉛ナノ粒子、部分還元された酸化グラフェンと順次電子移動を移動させることで高い光電変換特性を色素増感太陽電池において示すことが明らかになった。また、酸化亜鉛ナノロッド電極にポルフィリンを自己組織化し、その組織化状態と光物性との相関を解明できた。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
J.Phys.Chem.C
巻: 116 ページ: 2336-2343
10.1021/jp2104769
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 50 ページ: 4615-4619
DOI:10.1002/anie.201007065
J.Am.Chem.Soc.
巻: 133 ページ: 7684-7687
10.1021/ja201813n
http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/%7Emoleng_05/research_paper.html