バルク単結晶体作製のための改良版せん断装置設計・試作を目指して、既有の簡易せん断装置を用いた予備実験を行なった。予備実験段階で当該簡易せん断装置についても若干の機器構造の修正の必要性が生じ、設計試作部門の協力を得て適宜変更を加えながら予備実験を進めた。せん断速度、せん断の変位の大きさ、および、サンプルの厚さが主たるパラメータであるが、その結果、現象の十分な把握には、実験可能なせん断条件の範囲を広げる必要性が認識された。予備実験データを元に、改良版としての新規せん断装置の設計を検討し、結果として、現状の簡易装置と同様の駆動機構では、必要なパラメータ領域を十分にカバーするせん断速度発生は、原理的に限界があることがわかった。鋭意検討の結果、より適切な新しい駆動機構を見出すことができ、これを採用したせん断装置を作製することとした。平成21年度に計上した研究予算から、その駆動機構の心臓部機器を購入した。それを用いて、初期的な実験を行い、有効性を確認したところである。平成22年度にかけて設計試作部門の協力で新規装置の全体を完成させ、必要に応じて特許出願をしていきたいと考えている。ゲル固定条件の最適条件の探索については、研究補助者を雇用して、パラメトリックな実験を行なった結果、反応液の重合前後の光照射環境の影響、および、ゲル化剤組成とゲル化後の結晶の分光特性に関する新たな知見が得られた。今後のゲル固定結晶作製技術の高度化へ反映していくと共に、重合条件によるゲル化結晶の特性変化のメカニズムの解明を図りたいと考えている
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