研究課題/領域番号 |
21350107
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
澤田 勉 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (40354378)
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キーワード | 結晶成長 / コロイド結晶 / フォトニック結晶 |
研究概要 |
せん断配向処理において、配向性を大きく左右する可能性のあるパラメータとして、コロイド分散液の粒子濃度と塩濃度がある。これらのパラメータを振ることで、いわゆる、結晶の強さ(結晶/融解の相転移条件から結晶相側に入った条件にあるほど結晶が強い)が変わってくる。粒子濃度が低いほど、あるいは、塩濃度が高いほど、結晶は弱くなる。そのような条件では、一般に、自発的に単結晶粒が成長しやすいことが知られており、せん断配向にも有効であろうと考えられた。しかしながら、実験の結果、むしろ、そのような条件では、配向結晶に不均一性が発生しやすいことがわかった。せん断融解後に自発成長する結晶粒サイズを目安として、せん断配向に有効な分散液条件を検討した。 また、これまで、せん断配向処理をする基板としてガラス材を使用してきたが、新たに実験対象としだした樹脂溶媒系のコロイド結晶では、重合固化後に、試料がガラス表面に強力に接着してしまい、分離回収できないという困難にぶつかった。ガラス表面に樹脂フィルムを被覆したり、離型剤の適用、ガラス材を他のプラスチック材に置き換えるなどの対策を打ち、せん断処理に悪影響を及ぼさずに、分離回収が実現できる手段を検討した。この間、場合によっては、重合固化後に、配向体の特性が劣化してしまうなどの問題点が発生するなど、二次的な問題も発生し、解決策の確立に相当の努力を要した。結果として、せん断配向と、試料回収の両立をほぼ達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに取り組んだ樹脂系材質の試料について、せん断配向処理後の試料が基板に接着してしまい、回収困難になる問題に遭遇したため。解決策の確立に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、(1)バルク単結晶体を作製する方法を、メカニズムの解明を含めて研究、完成すること、(2)バルク単結晶体から、任意結晶方位の結晶片を切り出し、光学特性の異方性を実測により明らかにすること、であった。(1)の達成に関し、「研究実績の概要」に記したように、試料回収の困難さを克服する問題が発生し、研究進度が若干遅れ気味になった。研究期間はH24年度の一年間を残すのみであるので、(2)の結晶の異方性実測にはあまり切り込めないかもしれない。しかしながら、バルク単結晶体を実現できれば、その特性評価は時間の問題である。ここは、(1)をおろそかにせずに、完成することを優先させたいと思う。(2)については、初期的な結果を示しうるように努力したい。
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