平成22年度研究実績にて報告した、せん断処理のための「大型機」を用いて、厚さが0.1mmから1mmまでの間で異なる、多種類の配向コロイド結晶試料を作製し、その光学特性を評価した。せん断条件としては、これまでに、処理条件を正確に制御しうる(が、パワーが低く、肉厚試料を処理できない)「小型機」を用いて、適正な領域を見つけているので、それに基づいて処理を行った。これによって、上記の厚さの異なる配向試料を成功裏に作製することができた。粒子濃度、あるいは、粒径を変えることにより、フォトニックバンドギャップ周波数の異なる試料を、多種、作製することができた。せん断処理の効果は顕著であり、せん断処理せずにそのまま重合固化させた試料と、適正なせん断処理を施した試料とでは、Bragg反射による発色が大きく異なった。せん断処理を加えた試料は、肉眼による観察では、ほぼ全域(約3cm×3cm)が単色の発色を示し、シングルドメインに見える。この意味で、本研究の最大の目的である、バルク状コロイドフォトニック結晶の作製技術については、達成されたように思う。 これらの試料を用いて、詳細に分光評価(主として、反射分光)を行ったところ、意外な特性を見出した。これは、実用上、非常に有用な特性であり、現在、特許出願すべく鋭意準備中である。したがって、本報告においては、詳細を述べることができない。特許出願が完了したのち、本研究の大きな成果として、関連学協会の講演会等での発表、および、誌上での発表を行っていきたい。
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