研究課題
本研究では、電子供与性・受容性機能団の集積構造を分子レベルでデザインし、高性能な光電変換機能材料の創製を目指している。その一環として、供与体であるヘキサベンゾコロネン誘導体と、受容体であるフラーレン誘導体が連結した分子の自己組織化により得られるナノチューブの電気的性質を詳細に検討した。その結果、このナノチューブが顕著な光起電力特性を示し、それは比類なき精度で作り込まれたホールおよび電子輸送層間の効率的電荷分離と、引き続く両極性電荷輸送により実現されていることを明らかにした。また、p/nヘテロ接合の新しいデザインとして、側鎖の非相容性を利用する独自のアプローチを提案し、その有用性をモデル系で実証した。さらに、室温双連続キュービック液晶を発現するディスク状パイ共役分子を初めて見出し、新しい有機半導体の構造モチーフを提示した。この液晶中では、ディスク状分子からなるカラムが三次元的にネットワーク化しており、それが電導パスとして機能する。この液晶相の発現には側鎖末端にイオン性部位を導入することが鍵であり、側鎖長とイオン性官能基の大きさのバランスも重要であった。以上の研究に加え、新奇な立体構造を有する電子供与体として、剛直なラセン骨格有する分子をデザインし、そのオリゴマーからポリマーに至る合成法を確立した。これらの分子は全てサイズが明確に規定された数ナノメートルの一次元構造体である。一方、高機能デバイス実現には機能団の高秩序集積化が極めて重要である。しかしナノからミクロスケールへと階層的かつ大規模集積化を実現する方法論は未だ確立されていない。その問題解決に向け本研究では、特異形態を有する高分子をデザインし、その大面積集積化法の開拓も行った。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (20件) 備考 (1件)
Nature Materials 8
ページ: 494-499
Chemistry Letters 38
ページ: 888-889
Journal of the American Chemical Society 131
ページ: 17722-17723
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106
ページ: 21051-21056
超分子サイエンス&テクノロジー-基礎からイノベーションまで-(エヌ・ティー・エス)
ページ: 315-322
http://www.riken.jp/r-world/research/lab/frontier-rs/resp/soft/index.html