研究課題/領域番号 |
21350112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 巧 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10278393)
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研究分担者 |
高橋 儀宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50442728)
正井 博和 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10451543)
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キーワード | 透明ナノ結晶化ガラス / 酸化チタンナノ結晶 / レーザー結晶化 / ビスマスフリーガラス / ナノ結晶異相構造 |
研究概要 |
初年度として平成21年度は、酸化チタン・ナノ結晶化ガラスの透明性の向上と、酸化チタンおよび金属を同時にナノ結晶として析出するガラス系の探索に取り組み以下の成果を得た。 1.より透明性の高い酸化チタンを含有するナノ結晶化ガラスの開発:ガラス中における金属酸化物は酸素との配位状態や単結合エネルギーの大きさに依存して、ネットワーク修飾~中間~ネットワーク形成等の役割を果たしている。前駆体ガラス中における酸化ビスマスについて検討し、その平均的な結合状態を代替えする酸化物の組合せとして、酸化亜鉛と酸化バリウム(ZnO+BaO)を選択し、酸化ビスマス(B_2O_3)に置き換えた新しいガラス系を作製した。結晶化処理により、酸化チタンが単相で析出する特性はそのままに、ビスマス-リーによる光吸収の大幅な低減を達成した。特に可視光領域における低減効果が著しく、例として、波長0.5μm付近における吸収係数が従来試料の1/10以下に低減することを確認した。この成果は、高い透明性を有しながら高屈折率・高誘電率を持つ酸化チタン・ナノ結晶粒子を含有する新しい光学材料の創製を示しており、今後、ランダムレーザーや極薄タッチパネル基板など革新的な応用展開が期待される。 2.酸化チタン結晶相の選択制御:結晶化の諸条件(温度、時間など)ならびに組成の選択を最適化することによってルチル相とアナターゼ相の両相を選択的に生成する条件を見出した。 3.酸化チタンと金属結晶子のハイブリッド構造創製:プラズモン粒子やメタマテリアル形成に向けて、酸化物結晶と金属結晶のハイブリッド構造形成を試行し、ある種のガラス系において、酸化チタンや酸化亜鉛のナノ結晶に加えて、ビスマス金属ナノ結晶粒子が同時に析出する現象を見出した。このような異相ナノ結晶構造の報告はこれまでには無く、今後の展開に期待したい。
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