研究課題/領域番号 |
21350112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 巧 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10278393)
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研究分担者 |
高橋 儀宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50442728)
井原 梨恵 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20518526)
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キーワード | 透明ナノ結晶化ガラス / ナノ結晶 / ガラス構造 / 配向結晶化 / ゾルゲル法 |
研究概要 |
結晶化ガラスを機能性材料として用いる場合、透明かっ高配向性を有する表面ナノ結晶構造を実現することは極めて重要である。我々が独自に開発したパルス加熱と加熱補助の方法によるプロセス技術により、この課題に関する基礎的な知見はすでに得ており、一例として、酸化チタンのナノ結晶化を示すガラスに対して、パルス加熱と加熱補助を施すことで、粒子径200nm程度のナノ結晶子がガラス表面に緻密に形成されていることを確認した。但し、この場合の透過率は約30%であり、かつ結晶方位の配向性も確認されていない。 表面結晶化によって得られる結晶方位の高い配向性が、結晶成長における幾何学的選別作用に起因するものである限り、結晶粒子サイズの微小化制御による透明性の確保・両立は極めて困難なアプローチと言わざるを得ない。これはガラス結晶化の未踏領域として材料基礎科学的な課題であると同時に、応用上充分な透明性と考えられる80%以上の透過率を機能性を損なわずに実現するという応用展開の可否を決定する重要な基本課題である。 今年度は、高屈折率を有する誘電体を析出する結晶化ガラスにおいて、析出する複数の結晶相から、ガラス構造と結晶構造の次元性に着目した組成設計を行うことで、数10nm程度のナノサイズで均一かつ単相の結晶化ガラスの作製に成功した。結晶化後もガラスの透明性は損なわれず(透過率約90%)、高い透明性を有する新規な結晶化ガラス開発を行った。今年度はさらに、ゾルゲル法に代表されるソフトケミカル的なコーティングプロセス開発を新たにスタートした。ゾルゲル法によって得られる、膜厚制御が可能な薄膜において、バルク形態と同様の結晶方位の配向性を有するかどうかを確認し実用性に富む新しいナノ結晶化ガラスプロセスの開発へとつながる端緒を得た。
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