研究課題/領域番号 |
21350124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宇山 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70203594)
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研究分担者 |
辻本 敬 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90425041)
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キーワード | ポリ乳酸 / 分岐状バイオポリマー / バイオマスプラスチック / 結晶核剤 / ヒマシ油 / バイオマス |
研究概要 |
今年度はヒマシ油をコアとする分岐状バイオポリマーの合成と末端修飾を行った。また、末端構造の異なる分岐状ポリマーを添加したポリ(L-乳酸)(PLLA)の結晶化挙動や力学物性を調べ、分岐状ポリマーを基盤とする高性能PLLA用添加剤の開発を行った。まず、ヒマシ油の水酸基を開始点に利用してラクチドの重合を行い、分岐状ポリマーを合成した。つづいて分岐状ポリマーと酸無水物との反応により、末端基の導入を行った。その後、ホットプレスにより分岐状ポリマーとPLLAを任意の割合で混合したブレンドフィルムを作製した。報告者のこれまでの検討から、末端フタロイル型分岐状ポリマー(BP-Ph)をPLLAに15wt%添加した場合に結晶化が促進することがわかっている。本研究では低添加量でPLLAの結晶化を促進する添加剤の開発を目指し、分岐状ポリマーを5wt%添加したPLLAフィルムの等温結晶化挙動を調べた。分岐状ポリマーを添加した多くのフィルムにおいて、τ1/2の値はPLLA単独と同等、もしくは大きくなった。BP-Ph5wt%添加フィルムではτ1/2は8分以上となり、PLLAの結晶化が抑制された。一方、トリメリット酸を末端に導入した分岐状ポリマー(BP-Tr)を添加した場合には、結晶化時間が著しく短縮された。これは5wt%の添加量でBP-TrがPLLAの結晶化を促進したことを示している。異なる等温結晶化温度においても同様の結果が得られ、広い温度領域で結晶化促進作用が発現した。これらの結果より低添加量においてBP-TrがPLLAの結晶核剤として作用することが明らかとなった。
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