研究概要 |
剛直高分子は高性能・高機能性材料として期待されるが、その剛直構造ゆえに成型加工が困難である。本研究では、重合誘起オリゴマー相分離を利用することによる高性能芳香族高分子ナノファイバーネットワーク構造体のビルトアップ型調製法の開発を目指し、以下の成果を得ることができた。 1.ポリイミドネットワーク構造体の調製 ポリ[4-(1,4-フェニレン)オキシフタルイミド](POPI)について、分子鎖が長さ方向と垂直に配向している直径250nm、長さは15μm以上のナノファイバーが得られた。POPIとポリ(4-フタルイミド)(PPI)との共重合体では、PPIの分子鎖配向を助けとして分子鎖が長軸方向に配向していると推察される共重合体ナノファイバーを調製することができた。 2.ポリエステルイミドのらせん形態制御 N-(4-カルボキシフェニル)-4-アセトキシフタルイミドとp-アセトキシ安息香酸(ABA)の共重合において、ABAの添加時期や添加量を調整することによって、らせん状形態と非らせん状形態をブロック的に制御することができた。 3.ポリベンズイミダゾールのナノファイバーネットワークの調製 様々な種類のポリベンズイミダゾールについて検討し、ポリ[2,2'-(2,6-ナフタレン)-5,5'-ビベンズイミダゾール)]において直径25~90nmのナノファイバーが3次元的に繋がったネットワーク構造体が生成することを見出した。 4.ポリエーテルケトンナノファイバーの調製 芳香族求核置換反応によって、長さ1.4μm、幅300nmの高結晶性のポリエーテルケトン紡錘型結晶やそれらが連結したナノファーバーネットワーク構造体を調製することができた。 5.ポリベンズイミダゾピロロンナノファイバーの調製 N,N'-ジ(2-ピリジル)ピロメリットイミド)とテトラミンの仕込み比率を最適化することによって、長さ0.6μm、幅0.1μmの完全ラダー型高分子であるポリイミダゾピロロンナノファイバーを調製することができた。究極的な高性能材料と言える。
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