研究概要 |
今年度は金属-半導体界面の物理的制御としてグラフォエピタキシーの展開と,化学的制御として有機物を相性の良さが期待されるグラフェン電極による有機トランジスタの基礎的実験をおこない以下の成果を得た. 1.物理的制御 ゲート絶縁層SiO_2表面に周期溝を作製し,その上にsexithiophene(6T)薄膜がグラフォエピタキシーすることをわれわれの研究グループは世界で初めて実証した.昨年度は溝の周期を変化させて,成長する6T薄膜の形状変化を明らかにしたが,溝:テラスの幅比が1:1に固定していて,グラフォエピタキシーの効能が最大限利用できているとは言い難い.そこで溝幅に対するテラス幅を1から10000まで段階的に変化させてグラフォ基板を作製し,その基板上でのセキシチオフェンの成長形態を詳細に観察し,微小ファセット形状から決定される結晶方位の統計処理をすることにより溝周期がグラフォエピタキシーに与える影響を調べた.また,初期核形成時における飽和核密度の分子線フラックス依存性,ドメインの面積分布から,臨界核の大きさを評価した.以上の結果から,基板上の拡散距離と溝幅の関係が成長する薄膜のアスペクト比に影響を与えることが明らかになり,グラフォエピタキシーの結晶成長機構の微視的な理解に重要な手掛かりが得られた. 2.化学的制御 有機デバイスの電極としては金を始めとする金属が用いられているが,われわれが以前明らかにしたように,金電極をあらかじめ形成したSiO_2基板上でのペンタセン成長では電極周辺での成長核形成が抑制されて重要なゲート絶縁膜界面での薄膜の連続が失われる.有機半導体と同様なベンゼン環からなるグラフェンを電極にすれば,より親和性の高い界面形成が期待されるので,酸化グラフェン上におけるペンタセンの成長形態を明らかにした,
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