研究課題
半金属半導体混晶GaAsBiの禁制帯幅の温度依存性は大幅に低減できる。この特性を活用して最終的には発振波長が温度無依存である半導体レーザを得ることを目指している。Biの偏析により、GaAsBi/GaAs超格子は、従来、製作が困難とされてきた。本研究では、GaAsBi/GaAs超格子の製作法を確立し、その物性を明確にするとともに、発光の高輝度化を図る。その結果をもとに、レーザ基本構造(GaAsBi/GaAs超格子を活性層とするダブルヘテロ構造)の製作を目的としている。超格子の重要な物性値であるバンドオフセットを求めるために、p-GaAsBi/p-GaAsヘテロ構造へのショットキー接触を製作し、その容量電圧特性を測定した。GaAsに比べてGaAsBiには表面準位が多く存在することが明確となり、その影響によりバンドオフセットが求められなかった。次年度に、得られた知見を元に新たに考案した試料構造を製作し、表面準位の影響を抑制してバンドオフセットの解明を進める。また、本ショットキー接触を用いて、Deep Level Transient Spectroscopy (DLTS)によるトラップの検出を行った。GaAsBiの禁制帯の中で価電子帯側のトラップ密度は、たかだか2×10^<15>cm^<-3>であった。GaAsBiにBi原子がAsサイトではなくGaサイト(アンチサイト)に取り込まれトラップを形成する懸念が指摘されてきたが、少なくとも、禁制帯の価電子帯側のトラップ密度は大きくない。今後、伝導帯側のトラップ密度を求め、Biアンチサイトの有無を明確にする。また、AlGaAs/GaAsBiダブルヘテロ構造を製作した。ヘテロ界面の平坦性は、AlGaAs/GaAsBi超格子の透過電子顕微鏡観察と二次イオン質量分析により確かめている。Alを供給する分子線セル周辺からの汚染が、AlGaAs/GaAsBiダブルヘテロ構造の光学特性を大きく劣化させていることが判明した。次年度に、Al原料の分子線セル周辺を改造し、ダブルヘテロ構造の光学特性の改善をはかる。
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http://www.cis.kit.ac.jp/~yoshimot/