研究課題/領域番号 |
21360013
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
武内 道一 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (60284585)
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研究分担者 |
黒内 正仁 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトルフェロー (10452187)
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キーワード | 深紫外発光素子 / 結晶成長 / III族窒化物半導体 / 量子井戸 / AlN / AlGaN / 縦型発光素子 / レーザーリフトオフ |
研究概要 |
易加工性基板であるSi基板を用いたAlN成長について、初年度である21年度は「自然ボイド形成法」という手法を用いてクラックフリーで高品質なAlGaN系薄膜を成長可能とすることに成功し、その次年度は手法の制御性を向上すべくボイド形成メカニズムの詳細な検証を行い、断面構造の詳細を検証から、Si基板側にわずかにエッチピットが形成され、そこを起点にボイドが形成されることを見いだした。それら研究の中で明らかとなってきたのは初期のSi-Al反応が非常にMOCVD炉内の雰囲気に左右され、再現性が問題であるということであった。最終年度は再現性、制御性、均一性について留意して研究を進め、Si-Al反応の安定性が炉内残留雰囲気に大いに影響を受けさらに温度条件が非常に狭いことがわかった。その不安定さが故に残念ながら高品質化に踏み込むことところまでは到達できなかった。 AlN/サファイアテンプレート構造については、極性混在初期膜成長-アニール-埋め込み成長といった二段階成長法を駆使し、各種成長パラメーターの再見直しとともに最高水準のAlN膜を市販の結晶成長炉の能力で2インチ基板上に非常に均質に形成する成長技法の開発に成功し、昨年度にはクラックフリーのn形AlGaN層は4~5×10^<18>cm^<-3>も達成していた。最終年度ではこれを利用することで、7mWを越える発光を実現することができた。 この系での基板はく離法開発に関しては、申請時当初は素子抵抗低減のために基板はく離式電極正対型縦型構造を良しとして来たが、上記高濃度n形ドーピングが可能となったこと、基板はく離法そのものが非常に困難なこと、さらに基板はく離後の暴露裏面への電極構造形成が困難かつ接触抵抗が大幅に増加してしまうことなどもあって、電極横配置型素子で熱伝導性の悪いサファイア基板をはく離することの是非を検討せねばならないと判断している。AlN層に対応した新規レーザーリフトオフ装置の導入も進めていたが、予算面からして残念ながら中断した状態である。
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