研究課題/領域番号 |
21360014
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
平本 昌宏 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (20208854)
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 / pn制御 / ドーピング / 共蒸着膜 / モリブデン酸化物 / 3元蒸着 / 近赤外 / ダブルバルクヘテロ接合セル |
研究概要 |
本年度までに、典型的な有機半導体であるC_<60>とフタロシアニンについて、ドーピングによるpn制御とpnホモ接合の形成技術を確立した。h型化ドーパントとしてCs_2CO_3およびCa、p型化ドーパントとしてMoO_3およびV_2O_5が効果的に利用できることを見いだした。今回の結果は、ほぼすべての有機半導体に対して、pn制御、pnホモ接合形成が一般的に可能であることを示している。 有機薄膜太陽電海は、異種半導体の共蒸着膜を使用することが必要不可欠であるため、典型的な共蒸着層の組み合わせである、6T(チオフェン誘導体):C_<60>に3元蒸着に、よってドーピングを行い、共蒸着膜に対するpn制御技術を確立した。その結果、p型、n型ショットキー接合、pnホモ接合、オーミック接合、等が自由自在に作製できることを確認した。今後、以上の様々な接合を組み合わせで、光を充分吸収できる厚膜共蒸着セルで、pnホモ接合、pin接合、タンデム接合などを持つ高効率セルに展開する。 近赤外域に吸収を有する鉛フタロシアニン(PbPc)と、C_<60>の共蒸着膜(PbPc:C_<60>)と、可視域に啓度を有するメタルフリーフタロシアニン(H_2Pc)とC_<60>の共蒸着膜(H_2Pc:C_<60>)を接合した、ダブルバルクヘテロ接合セルを検討し、400-1100nmまでの可視-近赤外感度を有するセルの作製に成功した。 6T=C_<60>の成果は、2011/9/21付け日経産業新聞、2011/9/30付け科学新聞に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の有機半導体の超高純度化技術、次の段階であるpn制御に目処がつき、pnホモ接合、オーミック接合に代表される一般的接合を自由自在に作製できる技術を開発でき、有機薄膜太陽電池の抜本的効率向上を実現する基礎をほぼかためることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
高純度化とpn制御技術に基づいて、種々の有機半導体の組み合わぜの共蒸着膜セルで性能の抜本的向上に挑み、効率10%を目指す。伝導度は、ドーピングによって増大できるキャリア濃度と、共蒸着膜のナノ構造最適化によって増大できるキャリア移動度の積で表されるため、セル抵抗を減らして高効率につなげるために、ドーピング技術とナノ構造設計技術を積極的に組み合わせる。
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