研究課題
本研究は種々の表面処理におけるSi(110)表面ステップバンチング制御法を確立し、ステップ制御されたSi(110)表面をテンプレートとして半導体電子構造を有する配向グラフェンナノリボンを自己組織的に形成する技術を開発することを目的としている。昨年度は当該予算により購入した原子間力顕微鏡(AFM)を用いつつ、原子レベルで制御されたグラフェンナノリボン作製用Si(110)基板テンプレートの作製を目的として研究を行い、(1)Si(110)基板上Si原子ステップのステップバンチング、(2)Si(110)基板上SiC薄膜作製、(3)SiC薄膜/Si基板表面上のエピタキシャルグラフェンの成膜、それぞれに関する条件最適化を行った。本年度はとくに(1)を発展させ、成長中のSi(110)表面に電界を印加することにより、きわめて直線性の高いステップバンチングを起こさせることに成功した(論文)。しかし本年度、同時に明らかになったことは、このように高い配向性を持つステップバンチSi表面を実現しても、その上にSiC薄膜を堆積し、かつ1250℃グラフェン化アニールを施すことよって、そのステップ構造が大きな憂乱を受けることである。このため本年度後半ではグラフェン形成に関する表面ステップの役割を一部見直し、予めSiC基板表面に微細加工を施すことによって表面ステップを除去し、そのことによって形成グラフェンの高品質化を目指すことにした。AFM、低速電子顕微鏡(LEEM)、光電子顕微鏡(PEEM)、ラマン分光を駆使してSiCステップ表面及びその上のグラフェン結晶性を評価した結果、一辺約7μm以下の微細メサパターン上の表面ステップは、適切な熱処理によりステップを完全に除去することができ、かつ、その上に形成されたグラフェンが高品質化することを明らかにした。
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