研究概要 |
本研究は,偏光理論とコヒーレンス理論を統合した実践的な偏光コヒーレンス制御の新基盤技術を構築し,それを特異光学(Singular Optics)のような基礎光科学や光応用計測のような現実の工学的応用することを目的とする.この目的のために平成21年度は以下の研究を実施した. 1.直線偏光の3次元空間コヒーレンスを制御するコヒーレンスホログラフィーによる3次元形状センシング 奥行き方向の空間コヒーレンスを用いた3次元形状センシングにおける物体面のティルトの計測精度への影響を明らかにした.また,コヒーレンスホログラムにより制御された横方向の空間コヒーレンスを検出するための動径方向ににシアを持つSagnacシアリング干渉計を提案し,その有効性を実験により検証した. 2.複素波動場の空間構造をストークス偏光パラメータ表現した新しい偏光ベクトル相関変位計測法の提案 Riesz変換により生成された解析信号の微係数と偏光場の類似性に着目して擬似Stokesベクトル相関を用いることにより従来の強度相関法より分解能が向上することを理論と実験で示した. 3.ベクトル光波動場の偏光状態の空間分布を一枚の干渉縞画像から精密計測するための空間周波数多重化偏光干渉計の設計と試作を行った. 2次元波動場の偏光の空間分布を全視野同時計測するために空間キャリア周波数が可変で外乱に強い共通光路サニャック偏光干渉計の原理を提案した.この原理に基づいた可変空間キャリア型の偏光干渉計を試作した.試作した干渉計による偏光分布の計測結果を解析し,光学素子の収差とアライメント誤差が精度に与える影響を分析した.そして,偏光干渉計の光学素子と干渉計のアライメント誤差を較正する原理を考案し計測精度の向上を実現した.
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