研究概要 |
本研究は,偏光理論とコヒーレンス理論を統合した実践的な偏光コヒーレンス制御の新基盤技術を構築し,それを特異光学(Singular Optics)のような基礎光科学や光応用計測のような現実の工学的応用することを目的とする.この目的のために平成22年度は以下の研究を実施した. 1. 直線偏光に対する位相シフトコヒーレンスホログラフィーの提案と実証実験 21年度はコヒーレンス関数を検出するための共通光路干渉計の位相シフトの手段として機械的な手段による幾何学的位相シフト機構を用いていた.21年度は位相シフト機構をコヒーレンスホログラム自体に持たせて機械的な可動部のない電子的な手段による像再生の原理を提案し,その有効性を実験により実証した.これにより再生像の画質の向上を実現した. 2. 直線偏光に対する実時間コヒーレンスホログラフィーの提案と実証実験 記録媒体や空間光変調器などの記録・表示デバイスを用いずに,ホログラムを直接回転すりガラスに投影して実時間でコヒーレンス像を再生することができる実時間コヒーレンスホログラフィーの原理を提案し,実験に成功した. 3. 光子相関ホログラフィーの提案と実証実験 静止すりガラスにホログラムを投影し,散乱されたスペックルの強度相関関数から3次元物体の像再生をする光子相関ホログラフィーの原理を提案し,実験によりその有効性を実証した 4. 偏光スペックルの生成とその統計的な性質の解明 直交した2偏光成分の散乱場の形成する偏光スペックルの一般化Stokesパラメータを計測しその統計的性質を明らかにした.
|