研究概要 |
本研究は,偏光理論とコヒーレンス理論を統合した偏光コヒーレンス制御の基盤技術を構築することを目的とする.具体的には,光波の偏光状態と空間コヒーレンス関数を統合した相互ストークス場を自由に生成制御することができる偏光・空間コヒーレンス・シンセサイザーとその偏光コヒーレンス場を観測するための偏光干渉計の基盤技術の開発をめざす/以下に本年度に実施した研究とその成果を要約する. 1.ベクトル場コヒーレンスホログラフィーの原理提案と実証実験 ベクトル光波の偏光とコヒーレンスを統合した偏光コヒーレンス場の一般化されたvan Cittert-Zernikeの定理を導出した.この定理を基礎原理としてスカラー場のコヒーレ・ンスホログラフィーの原理を発展させ,直交する2偏光成分に対して個別のコヒーレンスホログラムを設計することにより,空間の任意の2点間のベクトル光波動場のコヒーレンス偏光行列を制御するベクトル場コヒーレンスホログラフィーの原理を提案し,その有効性を実験により実証した. 2.ストークスホログラフィーの原理提案と実証実験 偏光コヒーレンス場を制御するための新しい技術として次のようなストークスホログラフィーの原理を提案した.物体光と参照光に互いに直交した偏光を用い,従来の強度干渉縞に代わる偏光状態の干渉縞を生成し,それを静止位相拡散板で散乱させて,偏光干渉計で散乱場の偏光成分を検出して空間的相関関数を求めると,記録された物体像が一般化ストークスパラメータの空間分布として再生されることを理論的に予測し実験により確認した. これらの方法により統計的光波動場の偏光と空間コヒーレンスを同時に制御する基礎原理を確立した.
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