研究概要 |
アーム部にマイクロリング共振器を連結させたマッハ・ツェンダー干渉計型(MRE-MZ)光変調器は,マイクロリング共振器の位相変化の増大効果により動作電圧の大幅な低減が期待できる。平成21年度は,半導体量子井戸を光導波路に用いたMRE-MZの特性の理論解析とデバイスの試作を行った.光導波路のコア層には,これまで開発してきた,透明波長領域で大きな電界誘起屈折率変化が期待されるInGaAs/InAlAs五層非対称結合量子井戸を用いることした. まずは,マッハ・ツェンダー干渉計の片側アームにマイクロリングを設けたMRE-MZ光変調器の特性の理論解析を行い,周長500ミクロンのマイクロリングを用いた場合,約0.2Vまで動作電圧を低減できる可能性を示した.これは,従来の位相変調部長500ミクロンの通常のマッハ・ツェンダー干渉計型光変調器と比較して,動作電圧が6分の1程度に低減されることを意味する. 次に,設計したMRE-MZ光変調器を試作した.層構造は分子線エピタキシー法により成長し,ドライエッチング法によりハイメサ導波路を製作した.InPをクラッド層とするpn接合となっており,電圧印加によりマイクロリング共振器部のみの位相を変化させる構造とした.試作したMRE-MZ光変調器のDC変調特性を測定したところ,消光特性および実効位相の変化率dφ_<eff>/dφの増大効果(約2倍)を確認することに成功した.ただし,消光比が約4dBと悪い結果となったが、これらマイクロリング共振器との結合部での損失が大きく,両アームの光電力のバランスが悪かったことが原因と考えられる.
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