研究課題/領域番号 |
21360041
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 敏行 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60115988)
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研究分担者 |
加藤 裕史 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (40224547)
佐藤 文信 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40332746)
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キーワード | 培養細胞パターニング / X線マイクロビーム / 放射線照射効果 |
研究概要 |
本研究課題"X線マイクロビームを用いた神経細胞回路作成技術の開発"では、X線マイクロビーム照射技術と半導体プロセス技術を細胞工学に導入して、人工配列された神経回路(神経細胞チップ)作成技術を開発する。神経細胞チップ上の細胞は人工的に配置され、神経回路の基礎研究や細胞融合型電子デバイス研究等の目的に応じて、デザインされる。 平成22年度では、X線マイクロビーム照射誘導による培養細胞PC12の分化制御について調べた。通常のPC12細胞では、NGF成長因子の投与によって神経突起が成長する細胞である。また、X線照射によっても、NGF成長因子の投与なしで神経突起を誘発することが既に報告されている。そこで、ビーム径10μmのX線ビーム照射装置をもちいて培養シャーレ内の個々のPC12細胞を最大吸収線量20Gyまで照射し、10日間、炭酸ガスインキュベータで培養し、照射細胞の形態を観察した。X線マイクロビームによって分化誘導されるPC12細胞は、吸収線量の増加とともに増加して吸収線量15Gyで最大となり約14%であった。この実験結果は、^<60>Coによる均-γ線照射による結果ともほぼ一致している。ただし、X線誘導によって分化した細胞の形態は、NGFの投与にくらべて、神経突起の成長は小さいことが特徴である。 本研究で得られたX線マイクロビームによる単一細胞の分化誘導技術は、神経細胞回路作成において重要な要素技術である。平成23年度では人工配列された培養細胞に照射し、選択的に神経突起の成長誘導する実験を行う予定である。
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