研究課題/領域番号 |
21360047
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
浅沼 博 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40167888)
|
研究分担者 |
岸本 哲 独立行政法人物質・材料研究機構, コーティング・複合材料センター, 主席研究員 (10354169)
|
キーワード | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / 複合材料・物性 / 先端機能デバイス / 知的材料・構造システム / センサ / アクチュエータ / 圧電セラミックス |
研究概要 |
圧電セラミックスであるチタン酸ジルコン酸鉛(PZTと略称)は、その優れた機能によりセンサ、アクチュエータ材料として広く実用化しているが、極めて脆弱であり、また、そのデバイス化に際し、多くの場合、ホスト材料として樹脂系材料を用いているため、応答性や耐熱性に問題がある。先行研究ではこれら問題の解決のため、独自の方法(界面層形成・接合法(IF/B法と略称))の適用により、金属コアを有するPZTファイバを信頼性に優れるアルミニウムに複合化することに成功している。 本研究では、創製に成功したPZT/Al複合材料(Piezo-Alと略称)において、そのIF/B法による複合化時にPZTファイバに負荷される圧縮残留応力に注目し、それが出力電圧特性に及ぼす影響について検討するため、熱処理により圧縮残留応力を緩和させ、出力電圧特性の変化を測定した。また本研究では、その応用先として有望な極限環境下における粘度センサについて具体化を進めた。すなわち、二本のPZTファイバを利用し、一方をアクチュエータ、他方をセンサとして利用するアクティブ型の振動式粘度センサを試作し、粘度測定用のモデル溶液としてグリセリン水溶液および純水を対象に、その粘性測定の可能性を検討した。得られた知見、成果は以下の通りである。 1)本研究で作製した圧電複合材料は、出力電圧がひずみに比例して増加する。また、出力電圧は熱処理による圧縮残留応力の緩和により比例関係を保ったまま顕著に増加する。 2)熱処理によって圧縮残留応力を緩和した場合においても、圧電ファイバ単体の破断ひずみを超えるひずみ範囲まで破断ひずみは向上し、ひずみ向上と圧縮残留応力の緩和の双方の効果により、出力電圧は顕著に増加する。 3)本センサは、駆動側のPZTファイバにより発生させた振動を検知側のPZTファイバでモニタリングが可能であり、共振周波数および最大出力電圧は、グリセリン水溶液の粘度の増加に従い、単調に減少するため、粘度センサとしての利用が可能である。
|