研究課題
イメージ・マッチングによる膝関節接触状態評価法の実験的検証を行った。膝関節における軟骨の接触挙動を生体内で定量評価することで、変形性膝関節症の病態進行の分析や人工膝関節コンポーネントのデザイン向上に大きく貢献することができる。そこで本研究では、X線画像とCTから構築した骨モデルとの2D-3Dイメージ・マッチング結果にMRIから構築した軟骨モデルを加えて軟骨接触状態を評価する方法の有効性を、切断肢を用いて実験的に検証することにした。ヒト右切断膝を対象とした。CT画像から遠位大腿骨と近位脛骨の3次元骨形状モデルを構築し、MRI画像から大腿骨と脛骨の3次元軟骨モデルを構築した。骨モデルと軟骨モデルの位置合わせは手動で行った。次に重錘により切断膝へ任意の圧縮荷重を作用させることが可能な自作装置に切断膝を伸展位で設置した。大腿骨軟骨と脛骨軟骨の間に圧力センサー(Tekscan社)を挿入し、圧縮荷重(1.5kgf、21kgf、30kgf)を与えた。同時に2方向CR撮影を行い、骨輪郭とCT骨モデルの投影輪郭との重ね合わせにより大腿骨と脛骨の3次元位置を測定した。この時、大腿骨および脛骨の軟骨モデル同士が重複した部分を接触領域とみなした。そして、この接触領域を圧力センサーにより得られた接触領域や接触圧力と比較することで、イメージ・マッチングによる膝関節接触状態評価法の有効性を検証した。圧力センサーにより得られた接触領域位置とイメージ・マッチングによる軟骨接触領域位置は対応した。加えて、圧縮負荷の増加による圧力値の増加と軟骨モデル同士の食い込み量の増加についても概ね対応したことから、イメージ・マッチングによる本軟骨接触状態評価法は膝関節における軟骨の接触挙動を生体内評価する手法と有効であると結論された。
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