研究概要 |
本年度は,デジタルホログラフィにおける三次元計測やキャリブレーション手法の基本原理を実験により確認し,さらにキャリブレーション手法の高速化,超音波の定在波振幅分布計測による欠陥検出手法の構築を行う予定であったが,三次元形状計測に関する研究項目は次年度に移動し,H22年度以降の計画を前倒しして,先に顕微鏡レンズを使わなくても拡大撮影ができる光学系の構築と振幅分布の計測を行うことによって内部欠陥を検出する手法,装置を小型化するための検討を行った. 1.複数のレンズを組み合わせることで,顕微鏡レンズを用いなくても1ミリ程度の物体を拡大して撮影できることを確認した.2光束を用いた光学系によって,幅1ミリの片持ち梁の変位分布とひずみ分布を計測する実験を行い,それぞれ有意な結果を得ることができた. 2.振幅分布の計測を行うことによって内部欠陥を検出する手法の検討を行った.内部に欠陥がある試験片を用いて実験を行ったところ,内部欠陥によって表面に生じる等振幅線に変化が生じ,それが再生像に現れることが確認できた.これによって,内部欠陥検出の可能性が示された. 3.精度検定用として用いるミクロンメートルの平面度を持っ平面定盤については,別テーマで同様のものを製作したため,それを流用することにした. 4.小型の光学系を製作するための基礎実験として,入射光を1つにしてカメラを複数台用いる手法を検討した. 以上の結果によって,マイクロ構造物の変位分布・ひずみ分布の計測が実現可能であり,さらに,外部から振動を加えながら撮影することで,再生像として得られる等振幅線の変化から内部欠陥の検出が行えることを示すことができた.
|