研究課題/領域番号 |
21360055
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
田中 啓介 名城大学, 理工学部, 教授 (80026244)
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研究分担者 |
來海 博央 名城大学, 理工学部, 教授 (30324453)
藤山 一成 名城大学, 理工学部, 教授 (20410772)
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キーワード | 材料力学 / 疲労 / 破壊力学 / 薄膜 / ナノ結晶 / 電着法 / 疲労損傷機構 / 微視力学 |
研究概要 |
1.電着法によって10μmと30μmの2種類の膜厚のニッケル薄膜を2種類の電着条件で創製し、引張および疲労特性に及ぼす膜厚の影響を検討した。電着条件も2種類とした。疲労強度は膜厚が薄い方が高くなる。この原因は、同一電着条件でも、創製される薄膜の結晶粒径は、電着初期の基盤側で小さく、膜厚が厚くなるにつれて結晶粒径が大きくなることに起因する。疲労限度は溶液側の結晶粒径に支配されており、この粒径の平方根√<D>の逆数との間にHall-Petch関係が成立する。 2.疲労き裂進展特性は、特に下限界近傍で膜厚の影響が認められ、膜厚が厚い方が下限界応力拡大係数ΔKthが大きい。この膜厚効果も膜内の粒径分布に起因しΔKthは√<D>に比例して増大する。 3.回折プロファイルをフーリエ解析することから、結晶子寸法、微視的ひずみ、転位密度を決定する手法を確立した。この手法で、各応力レベルで疲労中の試験片に対して、放射光X線法により繰返負荷中の応力ひずみ関係の計測し、回折プロファイル解析より結晶構造の変化挙動を求めた。 4.切欠きが疲労強度に及ぼす影響は、結晶粒径が小さいナノ結晶の方が敏感であり、切欠き感受性が高い。 5.電着法で作成したニッケル多結晶薄膜の多結晶薄膜の有限要素法モデルを作成し、このモデルのもとに弾性異方性を考慮した弾性有限要素解析を行うことから、薄膜の弾性定数、多結晶中の各結晶の応力分布を、結晶異方性を考慮して求め、疲労への展開を検討した。さらに、微小疲労き裂の進展挙動を支配する粒径パラメータを明らかにし、モデル化を検討した。 6.電着法で作製した銅薄膜に関しても、電着条件と結晶粒径の関係を明らかにするとともに、ニッケル薄膜の場合と同様の、結晶粒径と疲労強度との関係が認めた。
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