研究概要 |
本申請では,高圧ガス保安法に抵触しない独創的な実験方法を用いて,常圧を含めた各種圧力の水素ガス中で,水素ガスを利用する各種機器用金属材料の強度特性(特に,超長寿命域疲労特性)を調べ,これらの機器を長期間の間,安心して安全に利用するために必要な基礎研究を行ない,水素エネルギー利用社会早期実現に貢献することを目指している 具体的には,高圧水素用機械部品のための金属材料であるオーステナイト系ステンレス鋼SUS316と高力アルミニウム合金A7075を用いて,以下のことを実施した (1) 10^7サイクル以上のギガサイクル疲労域を含めて各種応力比のもとで疲労限度を求め,耐久限度線図を完成させるための諸準備を整え,実験を始めた.特に,高周波数で実験する場合の試験片発熱について調べ,SUS316においては~50Hz, A7075においては~200Hzで実験する必要があることを確認した (2) 高圧水素ガス下で材料の塑性変形挙動の違いを調べるために,塑性変形領域を可視化するために用いる「再結晶法」を行うために必要な真空炉を整備し,熱処理条件等の最適条件を探した (3) 外部からは観察できない内圧式疲労試験片の疲労破壊の様子を調べるために,圧肉円筒内壁から発生する同心円状き裂の応力拡大係数を計算し,き裂内に作用する内圧も考慮した上で,破壊じん性値が高圧水素ガスの影響で変化するかどうかを調べた.また,FRASTA法を行うために必要なステレオ破面写真を相対する破面上でマッチングさせて撮影した なお,当初予定していた,「切欠き材に対する水素感受性評価」は行うことができなかったが,代わりに,引張強度特性に及ぼす高圧水素ガスの影響を調べた
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