研究概要 |
本研究は,シングル計測ポイントからXYZ3軸変位をsub-nmの分解能で一括計測できるXYZ3軸サーフェスエンコーダを開発することを最大の目的としている.提案する計測原理では,シングルレーザビームをサーフェス微細格子に入射し,入射点からの回折光をセンサヘッド内の微細サーフェス参照格子からの回折光と干渉させ,生じる干渉信号からXYZ3軸変位を算出する.本年度は,XYZ3軸サーフェスエンコーダのプロトタイプの試作と変位検出特性の評価を中心に研究を遂行した. まず,センサヘッドの光学設計と機械設計に取り組んだ.sub-nmの分解能を得るためにサーフェス微細格子ピッチとレーザ波長をそれぞれ1μmと0.685μmと設定し,対応するセンサヘッド光学系の設計を行った.1μmピッチの微細格子から生じる回折光の拡がりを抑える透過型格子をセンサヘッド内に配置することで,50mm×70mm×40mmの小型センサヘッドを設計できた. 併せて,変位算出に必要な干渉信号の信号処理システムを開発した.コンピュータ演算処理の負担を抑えて変位検出速度の向上を図るために,アナログ回路をベースにした信号処理システムを試作し,干渉信号の振幅・オフセットの誤差を電気的に調整した. 次に,サーフェスエンコーダの計測基準面であるサーフェス微細格子の製作に取り組んだ.大面積微細格子の製作時間短縮の観点から,サーフェス格子微細の製作方法を当初の計画であった機械加工から2光波干渉を用いた光リソグラフィー加工に変更し,最大30mm×30mmの領域に渡り1μmピッチの微細格子を製作できるシステムを構築した. 最後に,センサヘッド光学系の組み立てと調整,及び基礎的な変位検出特性の評価を行った.実験の結果,開発したセンサヘッドとサーフェス微細格子を用いてXYZ3軸の変位をsub-nmの分解能で検出できることを実証した.
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