研究概要 |
本研究は,シングル計測ポイントからXYZ3軸変位をsub-nmの分解能で一括計測できるXYZ3軸サーフェスエンコーダを開発することを最大の目的としている.提案する計測原理では,シングルレーザビームをサーフェス微細格子に入射し,入射点からの回折光をセンサヘッド内の微細サーフェス参照格子からの回折光と干渉させ,生じる干渉信号からXYZ3軸変位を算出する.本年度は,XYZ3軸サーフェスエンコーダの精度評価と性能向上を中心に研究を遂行した. まず,XYZ3軸においてサブnmの分解能が達成できるかについて評価を行うために,スケール用格子を分解能サブnmのXYZ3軸ピエゾステージ上に載せ,固定したセンサヘッドに対して相対変位を与えた.その結果,試作のサーフェスエンコーダは3軸ともサブnmの分解能を持つことを確認した.また,サーフェスエンコーダの計測誤差の傾斜成分と非線形成分について,それぞれ低減を試みた.計測誤差の傾斜成分の要因として,センサヘッド,スケール及びステージ間の取り付け誤差が及ぼす影響を考察し,適切な調整により20mmの計測範囲における3軸サーフェスエンコーダ計測誤差の傾斜成分の再現性が12nmまで向上することを確認した.一方,計測誤差の非線形成分の要因として,スケールである2軸回折格子の形状誤差,すなわち格子全面に渡る平面度と2軸方向の格子ピッチばらつきについて検討した.さらに,2軸回折格子の形状誤差を短時間で評価できる方法を新たに考案し,得られた評価結果を基に20mmの計測範囲における3軸サーフェスエンコーダの計測誤差の非線形成分を補正したところ,±50nm以内まで低減できることを実証した.
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