研究概要 |
本研究は,シングル計測ポイントからXYZ 3軸変位をsub-nmの分解能で一括計測できるXYZ3軸サーフェスエンコーダを開発することを最大の目的としている.提案する計測原理では,シングルレーザビームをサーフェス微細格子に入射し,入射点からの回折光をセンサヘッド内の微細サーフェス参照格子からの回折光と干渉させ,生じる干渉信号からXYZ 3軸変位を算出する.本年度は,XYZ 3軸サーフェスエンコーダによるステージの位置計測実験を中心に研究を遂行した. まず,3軸平面ステージをターゲットに計測実験システムを構築した.実験用ステージの大きさに合わせて,サイズが100mm x 100mm x 30mmの小型3軸サーフェスエンコーダを製作した.光源には青色レーザダイオードを使用し,光学部品は405nm波長対応のもので構成した.また,スケール格子は格子ピッチ0.57μm,面積が60mmx60mmのものを新たに製作した.実験結果により,開発のXYZ3軸サーフェスエンコーダはステージの3軸位置をsub-nmの分解能で計測可能なことを確認した. 次に,長ストロークリニアステージをターゲットに,マルチプローブセンサヘッド光学系に基づき,複数のスケール格子からなるモザイク格子対応できるモザイク格子3軸サーフェスエンコーダを開発した.XY±1次回折光の回折効率が最も高くなるXY格子計上をシミュレーションにより設計,試作した.その結果,15.4%の高い回折効率を持つXY格子を実現した.また,実際にリニアステージに位置計測実験を行い,格子間ギャップの影響を受けずにステージのXYZ3軸変位をサブnmの分解能で計測できることを確認した.さらに,格子間の姿勢誤差によりステージ位置計測感度が格子間で異なることを明らかにし,感度補正行列による補正手法を提案し,実験によりその有効性を実証した.
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