研究課題
ガラスは耐熱性、耐薬品性、光学、電気、機械など優れた特性を有し、広い分野で使用される重要な材料である。現在、IT製品などの高機能化、複雑化に伴い、ガラスの微細加工が益々重要となり、今まで不可能であった加工についても要求されるようになった。そこで、本研究ではガラスを加工対象とした3つのこれまでにない新たなレーザ微細加工を提案し、その実現を目指して3年間の研究を行った。1)3次元割断によるレーザ微細鏡面溝創成法2)ガラス箔の3次元精密微細成形加工法3)コロイド凝集制御による微細領域着色加工法1)の3次元割断によるレーザ微細鏡面溝創成法の開発では、結晶化ガラスがレーザ光線によって非晶質に変化すると線膨張係数が一桁大きくなることから、レーザ照射部のみが膨張し母材から剥離、割断され3次元鏡面溝の創成に成功した。2)のガラス箔の3次元精密微細成形法の開発では、レーザ光線によるガラス箔の圧縮熱応力を利用することで、分解能の高い微小曲げが可能であり、コイルや局面創成、針形状創成など様々な形状に成形できることに成功した。3)のコロイド凝集制御による微細領域着色加工法の開発では、ガラス状の金薄膜にレーザ光線を照射することで、光エネルギーが熱エネルギーに変換され、金薄膜が凝集分離してナノ粒子を形成することがわかった。さらにレーザ出力を変化させることで、凝集規模を制御することができ、10nmのナノ粒子から100nm以上のナノ粒子を形成することができた。ナノ粒子は表面プラズモンによって発色することから、10nmの粒子では赤色、70nmの粒子では青色、100nm以上の粒子では黄色の発色に成功した。これら3つの新しいレーザ加工を可能にする加工システムのハード、ソフトの構築を期間内に終了することができた。
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砥粒加工学会誌
巻: 56 ページ: 348-353
Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing
巻: 5 ページ: 347-357