研究概要 |
微粒子を分散させた懸濁液を基板上に塗布・乾燥させることで微粒子の自己整列構造を容易に製作することができる.本研究ではディスペンサと精密ステージを組合せて基板上に自由なパターンの自己整列構造を製作する技術の確立を目的とし,今年度は純水を用いた濡れ広がり制御の基礎実験とともに,微粒子パターニングの基礎実験を進めた. ディスペンサの吐出/停止に加え,吐出速度およびノズルと基板の間隔を調整することで濡れ広がり幅を一定に保つ手法を提案するとともに,内径100ミクロンのノズルで濡れ広がりの幅を2mm程度に安定して制御できることを示した.主題である能動制御の基礎を実現できた. 次いで,微粒子を含めた懸濁液の塗布による自己整列実験を進めた.直径1ミクロンのシリカ微粒子を水に分散させた懸濁液を用い,まず基板の濡れ性が微粒子整列に強く影響するため親水および疎水基板の両方について検証を行った.親水性基板では広い面積に濡れ広がることから微粒子数が不足する傾向がある一方で,疎水性基板では逆に狭い範囲に微粒子が多層をなす構造が得られた. さらに,吐出と併せてステージの移動を制御することで離散的なドットパターンおよび直線パターンに沿った微粒子構造をマスクレスで製作した.直径2mmの微粒子構造の島が4mm間隔で並んだ構造と直線パターンに沿った構造を製作した.直線パターンの実験では直径1ミクロンの粒子が幅20ミクロンで単層・最密に整列した構造ができた.直線を密に並べることで大面積構造実現の可能性を明らかにした. 微粒子自己整列構造の応用についても検討を行い,ガスセンサとしての可能性を明らかにした.特に金属酸化物微粒子を整列させたガスセンサは小型かつ高感度なセンサの可能性を秘めている.
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