研究概要 |
本研究の目的は,米ぬかを原料とする硬質多孔性炭素材料RBセラミックス粒子を樹脂材料及び金属材料に充填することにより,新しい低摩擦・耐摩耗複合材料を開発し,摺動材料として応用することである. 平成22年度では,RBセラミックス粒子を充填したPA66樹脂の摩擦・摩耗に及ぼすRBセラミックス粒子の平均粒径,充填率の影響を明らかにするとともに,銅合金/RBセラミックス複合材料の摩擦摩耗特性を明らかにした. RBセラミックス粒子を充填したPA66樹脂では,RBセラミックス粒子の平均粒径の減少,充填率の増加に伴い,摩擦係数,比摩耗量は減少する傾向を示すことが判った.特に同粒子の平均粒径が3μm,充填率が50mass%の場合,同複合材料はRBセラミックスとほぼ同等の極めて高い耐摩耗性を示すことが判った.また,RBセラミックス粒子の充填によるPA66樹脂の摩擦係数の低減,耐摩耗性の飛躍的向上は,硬さの増加に起因することが示唆された. 銅合金/RBセラミックス複合材料では,大気中無潤滑下,水潤滑下における銅合金製ピンを相手とする摩擦試験により,同複合材料の摩擦摩耗に及ぼすRBセラミックス粒子の平均粒径,配合率の影響が明らかにされた.その結果,RBセラミックス粒子の平均粒径が3μm,充填率が5mass%の場合に極めて優れた耐摩耗性,低い相手攻撃性を示すことが判った.SEM/EDXによる摩耗面の観察,分析により,RBセラミックス粒子配合による耐摩耗性向上メカニズムの検討が行われた.以上の結果より,同複合材料が鉄道用パンタグラフすり板として応用可能であることが示唆された.
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