研究概要 |
本研究の目的は,3次元計測装置によって取得された数千万から数億個の点群データから,大規模設備のモデリングを行うことのできる新しい形状処理カーネルを開発することにある.本年は,研究を進めるにあたっての環境整備,システム開発用のツール群の整備,さらに,画像とメッシュを連携させた新しいモデリング手法の研究と検証を行った.主たる成果は以下の通りである. (1)大規模点群処理の基盤となるデータサーバの設置と検証用点群データの整備を行った.レーザ計測装置ベンダ3社の協力を得て,大規模点群データを収集した.また,東京大学に設置したデータサーバでデータ管理する環境を構築した. (2)大規模点群・メッシュを扱うことのできるデータ構造の設計・実装を行った.本データ構造の特徴は,メモリ容量を超える規模のデータを扱うために,外部記憶装置を用いた,ストリーミング処理や高速なランダムアクセスが可能な表現となっていることである.また,点群計測業界で用いられているデータフォーマットに対するデータ変換モジュールも実装した. (3)イメージベースモデリングとメッシュモデリングを融合した新しいモデリング手法を開発した.本手法は,点群のレーザ反射強度から生成された画像と,座標データから生成されたメッシュモデルを用いて,直感的なモデリング操作を可能にするものである.従来は,メッシュや点群を直接操作してモデリングを行っていたが,これらから対象物を同定することは容易ではなく,ユーザの負担が非常に大きかった.それに対して本手法では,ユーザが画像に基づいてモデリングを行うので,初心者でも直感的なモデリングが行える.また,メッシュの近傍情報を用いて,効率的な3次元処理が行える. (4)上記の基盤ツールに基づいて,プラントのモデリングのためのフィーチャベースモデリングシステムを実装し,テストデータを用いて検証を行った.その結果,本システムにより点群からのソリッドモデリングが効率的に行えることを確認した.
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