研究概要 |
3ball-on-disk摩擦試験機を用いて摩擦特性の把握を行った.含有アミノ基量および分子量を変化させたPMA系VII数種を添加剤として低粘度PAOを基油に用いた場合の摩擦特性を測定した.高速では流体潤滑効果が大きく現れ添加剤間の摩擦特性の違いはほとんど観察されなかったが,低速域において添加剤間の差異が現れ,境界潤滑特性に高分子量添加剤が大きくかかわっていることが確認された.PMA系VIIでは,アミノ基含有量が多いものが最も摩擦係数が低くなり,吸着性能が高いものほど摩擦低減作用があることが確認された.また高分子量のものほど摩擦低減作用に優れることが明らかとなった.また,アミノ基含有PMAと同じようにジメチルアミノ基を末端に有する低分子化合物,ジメチルオクタデシルアミン,を用いてその摩擦特性の比較のための条件設定にかかわる予備実験を行った.さらに原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面上の有機分子膜の解析のため,直鎖で配向性を有するシランカップリング剤から形成されるSAMをモデル物質に使い測定条件の設定にかかわる予備実験も行った.AFMを用いた高さ像(形状測定),ラテラルフォース像(摩擦力測定),コンタクトモード測定,タッピングモード測定,粘弾性測定など各種の測定条件の最適化を行った.材料の相違に対する評価として通常の鋼材のみでなくDLCコーティング膜に対する性能評価も行うべく準備を始めた.以上の本年度に得られた成果を元に次年度以降本格的な研究を開始する.なお,装置の都合上実施できなかった極低速域までの実験は,その装置改良も含め次年度に実施する.
|