研究概要 |
本研究の目的は,永久磁石を用いずに,多層構造により高い推力密度をもつ超精密・超高速平面モータを実現することにある.本モータでは基本的に可動子・固定子間のギャップが小さいことが重要であるが,前年度の製作方法では製作精度が不十分であるためギャップを大きくせざるを得ず,性能劣化の大きな要因となっていた.そこで本年度は,下記のことを行った. 1.可動子の製作方法や構造の改良 樹脂で封入し,可動子の変形抑制し固定子との接触面を滑らかにすることを試みた.そのために専用の治具を製作し,試作を繰り返して評価を行った.これまでに滑らかさの向上,変形抑制が可能であることを確認している.但し,試作機評価へ進むには改良が必要であり,来年度の完成に向けてさらに改良を進めている.これとは別に,磁性体の変形を許容し,汎用で高い製作精度を得やすい技術を利用できる可動子を考案した. 2.固定子構造・製作方法の改良 同一の大きさでも高い推力が得られ,製作が容易な固定子構造を発案し,製作方法を検討し,滑らかな固定子表面を製作可能となった. 3.潤滑油の選定 本モータに適した潤滑油を選定した. 4.新しいモータ構造の検討 前年度より検討しているモータは,可動子のピッチよりも,可動子・固定子間ギャップを小さくして性能向上を図るように設計されている.原理的には問題ないが,製作上の課題が生じている.そこで,そのような制約を受けにくい新しいモータ構造を考案した.現在,最適な構造について数値解析的に検討を進めている.
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