研究課題/領域番号 |
21360073
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩井 善郎 福井大学, 工学研究科, 教授 (40115291)
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研究分担者 |
本田 知己 福井大学, 工学研究科, 准教授 (80251982)
宮島 敏郎 福井大学, 工学研究科, 助教 (60397239)
神田 一隆 福井大学, 工学部, 教授 (60091675)
阿保 政義 福井大学, 工学研究科, 准教授 (40231980)
春山 義夫 福井大学, 工学部, 教授 (00019225)
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キーワード | マイクロスラリージェットエロージョン / MSE / 硬質皮膜 / DLC / 表面モルフォロジー / 表面時系列観察法 / スクリーニング試験法 / 表面強度 |
研究概要 |
薄膜のトライボロジー特性等を迅速に評価する微小固体粒子を含む水噴流を用いた評価法(MSE法)に関して、多方面から実験研究を行った。 (1)摩耗量をインプロセス計測できる新規のMSE装置を設計・製作して、その性能を調べた。ただし、予算の制約から摩耗量計測装置は装備できなかった。また、評価試験を効率的に実施するための今後の改善点を検討した。 (2)既存の循環式MSE装置を用いて、各種DLC膜やTiN、TiCなどの単層膜と多層膜について、アルミナ粒子(粒子径;1μm)を投射するMSE試験を実施して、摩耗率のデータを広範に収集した。 (3)TiN膜とDLC膜について、摩耗面をFIB-TEM、AFM等により観察・分析し、摩耗メカニズムを考察した結果、MSE試験では薄膜表面がナノスケールで脱落していることがわかった。 (4)TiN膜についてMSE試験を繰返し行い、摩耗率の繰返し再現性を調べた結果、それらの誤差が5%以下となりMSE試験の信頼性は非常に高いことがわかった。また同じTiN膜で超微小硬さ試験を繰返し行った結果、誤差が約10%であったことから、薄膜評価試験としてMSE法は高い可能性を有することが示唆された。 (5)成膜法が異なるTiN膜のMSE試験(低投射角度)の摩耗率とすべり摩耗試験における皮膜寿命には相関があることがわかった。また、DLC膜については、水素含有量との関係およびすべり試験結果との比較を行った。 (6)MSE法における粒子衝突によって生じる薄膜の変形と損傷の数理モデルを離散要素法(DEM)により構築し、一部のMSE試験条件を適用して数値計算を行った。今後のモデルの改善についての課題を見出した。 (7)既存のMSE装置に幅広ノズルを装着し単結晶Siウェハを供試材料としてウェットブラスト加工試験を行い、微小固体粒子の投射による除去量と表面粗さの関係およびそれらの除去メカニズムについて考察し、MSE法の他分野への展開としてSiウェハの表面微細加工の可能性を明らかにした。
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