本研究は、研究代表者が提案している自乗量保存形の移流項差分スキームと非線形離散システム方程式の解法であるJFNK法(Jacobian-free Newton Krylov method)を用い、昨年度に引き続き、非圧縮性流れの計算コード、圧縮性流れの計算コード、流体-構造連成問題のコード、気液混相流のコード、等の作成とチューニング、およびこれらのコードの検証計算を実施した。その際、非圧縮性流れの計算コードと圧縮性流れの計算コードについては、計算手法の高次精度化を達成するため、空間4次精度から10次精度までのコンパクト差分を導入したコードの作成を行なった。非圧縮性流れの計算コードについては円筒座標系への拡張も行なった。さらに、圧縮性流れのコードについては、自乗量保存形差分と衝撃波捕獲法との混合手法も構成し、衝撃波が現れる流れ場での乱流計算を可能とした。 以上のコードの検証として、クエットおよびポアズイユ型バックステップ乱流のDNS、波状壁チャネル乱流のDNS、ラム渦問題、円管内旋回乱流のDNS、衝撃波管問題、渦-衝撃波干渉問題、回転系振動格子乱流のDNS、圧縮性チャネル乱流のLES、キャビティにより生じる流体音問題、ピストン移動により生じる衝撃波問題、ダム崩壊問題、の数値計算を実施し、構成されたコードの信頼性を確認した。 以上の成果については、第8回日本流体力学会中部支部講演会、第24回数値流体力学シンポジウム、第60回理論応用力学講演会、において9件の講演発表として公表している。また、第8回日本流体力学会中部支部講演会で発表した「衝撃波捕獲法と自乗量保存形差分の混合スキームの開発」については優秀講演賞を受賞している。
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