研究概要 |
天然ガス液化技術(GTL: Gas To Liquid)では,FT(Fisher-Tropsh)合成反応,すなわち微粒子を固体触媒とする高濃度スラリー内の固気液接触反応が要となる.本研究では,各種化学反応塔内スラリー系固気液三相反応性流れの汎用計算技術開発と普及を最終目的とし,このため本研究期間において,(1)単純形状気泡塔内スラリー系固気液三相気泡流の流動特性に関する実験データベースの構築,(2)気泡の合体・分裂特性に及ぼす粒子性状及び流体物性の影響のモデル化,及び(3)化学反応を伴うスラリー系固気液三相気泡流の三次元流動計算技術構成要素の構築を行う. 平成23年度は、前年度の実施内容を踏まえ、以下の項目を実施した.(1)前年度に引き続き,気相流量・流入気泡径・粒子径・粒子濃度・粒子表面性状・流体物性を実験パラメータとして,スラリー系固気液三相気泡流内の気相速度・液相速度・気相体積率・気泡径の空間分布を測定し,実験データベースを拡充した.その際,スラリー系気泡流における液相流速を計測するための挿入型小型LDVプローブを開発した.(2)前年度までに開発した計測手法を用いて,粒子径・粒子濃度等が気泡の合体・分裂に及ぼす影響に関する系統的実験データを拡充し,既存の気液二相気泡流用合体・分裂モデルをこれらのパラメータの影響を考慮したスラリー系気泡流用モデルに改良した.(3)化学反応を伴うスラリー系固気液三相気泡流の三次元流動計算技術の構成要素として,多流体モデルと界面追跡法を組み合わせたスラリー系固気液三相気泡流計算手法及び化学反応計算モデルを構築した.本計算手法によるスラリー系気泡流予測結果と(1)の実験データベースとの比較により,本計算手法が気相体積率分布等を妥当に予測できることを確認した.
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