研究概要 |
本研究は,ふく射の空洞量子効果をより効率的に活用できる機能性構造体を製作し,分子の非平衡状態を空洞内で実現することで水蒸気-メタン改質反応を低温かつ高効率で行うことを目的としている.本年度は,まず球形空洞内の電磁波方程式を解析し,メタン・水蒸気系の改質において球形空洞の最適直径を検討した.数値シミュレーションで電磁波方程式を解き,空洞内の共振電磁場モードの解析を行った.このデータを基礎にし、空洞の大きさを5ミクロンと決定した. 実験的には,最適空洞径を有するセラミック構造体を製作するために,最適直径に近いラテックス粒子を購入し,これを懸濁したセラミックスを乾燥し,還元雰囲気中で焼結する焼結法を検討した.パラメトリックな試験を行うことで,ナノ機能性構造体製作の製作手順を決定した.粒子径を精密に制御したラテックス表面に原料物質を吸着させ,容器内に充填する.充填したセラミックスとラテックス粒子を乾燥させ,これを加熱炉に装着し還元生雰囲気中で高温にしてラテックス粒子を熱分解させ,真球のマイクロ・ナノ空洞群を作るとともに,粒子表面の触媒物質を球形空洞内面に付着させた.ミクロ空洞構造の観察と計測には,現在保有している大型電子顕微鏡を使用し,焼成後もミクロ空洞が適正な直径と数密度を保っているかを検証・確認した. また,次年度のガスクロマトグラフを用いた水素改質実験を行うに当たり,ミクロ構造体の球形空洞内面に焼結する触媒物質の選定をおこなった.最適な化学成分とその濃度を,コンピュータソフトを使用して推定し,非平衡状態におけるふく射と反応ガスとの関係を明らかにした.
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