研究概要 |
本研究は,高度に制御されたマイクロ構造体を作成し,空洞内ふく射と諸種のガス分子が熱力学的に非平衡状態で改質反応を起こさせることによって,高効率に水素を得るものである.この技術を確立する上では、マイクロ構造体の設計、改質反応実験、そしてマイクロ構造体内に生成する共振ふく射場の解明が必要になる。 研究最終年度は,前年度に行った改質実験結果に基づき新たなマイクロ構造体の検証とそれを用いた実験を行った。精密なマイクロ構造体の作成をめざし、コロイド結晶鋳型法と酸化チタン浸潤法を比較し、コロイド結晶鋳型法によるセラミック構造体がもっとも構造体の構造制御にふさわしいことを確認した。このマイクロ構造体を用いて、水蒸気改質実験を行い、構造体の有無の違いにより改質反応量に違いが生じることを確認した。 また新たなマイクロ構造体として、多孔質体ではなくマイクロチャネル形状の構造体を設計および製作した。導波管の原理により管内に存在可能な共振波長を求め、さらに希薄気体の圧力損失関係式により管の大きさを決定した。 さらに、ふく射特性の理論的研究を行った。微小空間内に生じるふく射場すなわち電磁場の共振現象を理論的に解析した。もっとも簡単な系として平行平板系を考え、球面波の多重反射過程を積分し、伝播エネルギーと温度の関係をプランクの法則で結びつけることにより共振現象およびそれによるエネルギー輸送量を導いた。
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