研究課題/領域番号 |
21360093
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 勲 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10170721)
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研究分担者 |
齊藤 卓志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20302937)
川口 達也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40376942)
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キーワード | プラスチック射出成形 / 金型温度制御 / 排熱利用 / 消費エネルギー削減 / 生産性 / ヒートパイプシステム / 加熱冷却速度 |
研究概要 |
研究計画の最終年度である本年度は、実際の射出成形プロセスを想定して、実際的な条件下で2台の成形機金型間でヒートパイプシステムを利用した金型温度制御に要する熱エネルギーの融通を試み、温度制御速度とエネルギー融通効率を評価した。その結果、冷却工程32℃、充填工程127℃の金型温度を想定した供試条件下では、熱融通により、約20秒で低温側金型を32℃から60℃まで加熱し、高温側金型を127℃から87℃まで冷却することができた。この加熱・冷却速度はそれぞれ1.4K/s、-2.OK/sであり、電気ヒーター、冷却水による加熱・冷却と同等かやや速い温度制御速度となった。この後、それぞれの金型は電気ヒーターと冷却水により所定の温度まで加熱・冷却されるが、加熱のために必要とされる電気エネルギーは最大40.9%削減できることが示された。このことから、本方法によれば、生産性にほとんど影響を及ぼすことなく、射出成形における金型温度制御に要する熱エネルギーを4割程度減じることができることがわかる。 同一仕様の金型間では理想的には50%となる熱融通によるエネルギー消費削減効果をさらに向上させるため、2金型間を接続する蒸気配管からの熱損失を評価した。その結果、配管からの放熱量は管内壁をその圧力における蒸気飽和温度とする管壁内熱通過で評価できることがわかった。すなわち、エネルギー消費削減効果を高めるためには、蒸気配管表面積を減じるとともに、十分な断熱を施すことが必要である。一方、蒸気配管の圧力損失が熱融通に与える影響を評価した結果、管径を減少させると熱融通による加熱・冷却速度が低下することが示された。これらのことから、本概念における金型温度制御消費エネルギーの削減のためには、金型間を結ぶ配管を十分断熱し最短化することが望ましいと結論できる。
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