研究概要 |
本研究は,熱エネルギーを,赤外線放射体表面近傍に生ずるエバネッセント波,およびその強電界により光電池表面の薄膜電極に誘起される表面プラズモンを介して,局所的に光電池内電界を増強させることによって,電力へと変換する高密度な光起電力発電を行うとするものである.本年度は,n型GaSb表面に厚さ20nmのNi薄膜をスパッタすることで簡易なショットキー電池を製作し,発電に成功した.この薄膜を数ミクロン幅の格子状として強電解を誘起させる実験準備が整った.一方,真空容器内で800℃に加熱された鏡面タングステンエミッター(5mm×6mm)に多結晶Si系電池を数ミクロンオーダーまで近づけたところ,伝播ふく射成分による出力に比べて,1.3倍の出力が得られた.感度波長が可視域であるSi系電池においても数ミクロン離れた位置からエバネッセント効果が現れることが明らかとなった.さらに,ふく射の波長程度の周期的な微細構造を有するSiCエミッター表面において,その内部からのふく射が全反射する臨界角以上の角度で表面に達した場合,表面波が誘起され,その波数と,真空中の波数が一致する角度で真空中に放射されることが独自に開発した放射数値シミュレーションにより明らかとなった.
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