本研究課題では、MRIとNMRを併用し、MRIで軟骨組織内部の画像計測を、NMRで表面近傍の含水量を動的に計測する「動的NMR・MRI併用計測」システムを開発することを目的とする。さらに、この計測システムを用いて、歩行時を模擬した1Hzの繰返し荷重を軟骨組織が受けている際の組織内での水分移動現象と組織構造の変化を動的に計測し、計測データを基に水分移動を含む軟骨組織モデルを構築することも研究目的としている。 本年度は上記の研究目的を達成するために、以下の具体的な研究項目を実施した。 (1)繰返し荷重印加装置の製作を製作し、擬似生体材料に負荷を印加して変形挙動を観察した。 (2)トリガー起動方式のMRI計測システムの製作を製作し、繰り返し荷重を駆動する発振器の周期に合わせて計測タイミングを調整してMR画像を取得した。 (3)界面近傍計測のためのNMR計測システムの設計と部品製作を行い、RF検出コイルの共振周波数をシフトさせる方式で、NMR用小型コイルとMRI用大型コイルとの電気的干渉を防ぐ方式を確立した。 (4)自由境界変形挙動観察用光学計測システムを製作し、MRI計測用磁石内に挿入して、MR画像への歪が生じないことを確認した。MRI用検出コイル内に光学計測システムを挿入できるように製作した。
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