本研究課題では、MRIとNMRを併用し、MRIで軟骨組織内部の画像計測を、NMRで表面近傍の含水量を動的に計測する「動的NMR・MRI併用計測」システムを開発することを目的とする。さらに、この計測システムを用いて、歩行時を模擬した1Hzの繰返し荷重を軟骨組織が受けている際の組織内での水分移動現象と組織構造の変化を動的に計測し、計測データを基に水分移動を含む軟骨組織モデルを構築することも研究目的としている。 本年度は上記の研究目的を達成するために、以下の具体的な研究項目を実施した。 (3)界面近傍計測のためのMR計測システム NMR計測を行うには、5個の小型NMRセンサーに離調回路を接続する必要がある。離調回路は、MRI計測用の大型RFコイルが励起パルスを照射する際には、共鳴周波数をシフトさせて小型NMRセンサーが影響を受けないようにするための役割がある。この離調回路を製作した。一方、小型MRセンサーが励起する際には、MRI用RFコイルの共振周波数をシフトさせる必要がある。そこで、MRI計測用の大型RFコイルにも離調回路を製作した。また、制御ソフトウエアも改良を行った。これによりNMRセンサーと大型RFコイル共に離調が可能となり、動的NMR・MRI併用計測が可能となった。 また、製作した計測システムを用いて2wt%のアガロース(直径20mm、厚さ8.5mm)に荷重を印加し、その含水量が時間と共に変化していく様子を計測した。MR画像からは荷重印加により信号強度が低下していく様子が、一方、NMR計測によるT2緩和時定数からはT2が短くなる様子が時間と共に計測された。この成果は日本機械学会関東学生会第50回学生員卒業研究発表講演会において発表された。
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