研究概要 |
本研究者らは,国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」において,最初の科学実験を実施した.本申請者等の実験装置(流体物理実験装置)は,「きぼう」に設置され,平成20年8月22日から実験が開始された.本研究課題においては,平成21年度における実験シリーズの準備および実験を実施すると共に,平成20年の実験結果を解析することを目的とした. 1.「きぼう」実験の継続実施:平成21年度には,約20日間の宇宙実験を実施した.その結果,とくに地上では困難な長い液柱の実験を行い,軸対象定常流から非対称非定常流への遷移条件(臨界マランゴニ数)に関して液柱長さの影響に関するより詳細なデーターを取得した.これに関して,海外の研究者の協力を得て,線形安定論解析を実施し,実験結果と比較した. 2.レーザーフォトクロミック法による表面流速測定:宇宙実験において,当該測定を実施し,良好な画像を得た.この結果を解析し,液柱表面上でのハイドロサーマルウエーブの伝播状況を解析している. 3.試験流体のプラントル数の影響:今年度には,地上における予備実験を実施した.平成22年2月から「きぼう」においてマランゴニ対流実験のテーマ2が開始され,粘性の高い試料(10cSt)による臨界マランゴニ数のデーターが取得されつつある.このデーターを共同して解析する. 4.非常に短い液柱の実験と解析:アスペクト比の小さい(短い)液柱に関して,地上実験を行い宇宙実験の結果と比較すると共に,周方向に倍数のモード数が同時に現れる現象を見出した.また線形安定論による解析を行う準備を整えた. いくつかの国際会議,国内の会議において分担して研究成果の広報を行った.
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