研究概要 |
本研究者らは,国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」において,最初の科学実験を実施した.本申請者等の実験装置(流体物理実験装置)は,「きぼう」に設置されている.本研究課題においては,平成22年度における実験シリーズを実施すると共に,平成20~22年の実験結果を解析することを目的とした。 1. 「きぼう」実験の継続実施:平成22年度には,延べ約24日間の宇宙実験を実施した.今回の実験は、液柱直径が50mm、粘性はより高い試料(20cSt)を用いているのが特徴である。様々なアスペクト比(液柱高さと直径の比)の実験を行い,軸対象定常流から非対称非定常流への遷移条件(臨界マランゴニ数)に関して液柱長さやプラントル数の影響に関する幅広いデーターを取得した. 2. レーザーフォトクロミック法による表面流速測定 表面流速をフォトクロミック法を用いて測定し、IRカメラによる表面温度分布測定と組み合わせることによって、宇宙実験における大直径・高アスペクト比の液柱において、大きな温度差を付加した際の対流場を実現し,強非線形領域での対流場の観察に成功した. 3. 非常に短い液柱の実験と解析:アスペクト比の小さい(短い)液柱に関して,地上実験を行い臨界マランゴニ数を得た.また,周方向に倍数のモード数が同時に現れる粒子集合現象を見出し,その3次元的な構造を計測した。1~10程度のプラントル数をもつ液柱マランゴニ対流について、弱非線形解析により、回転波と定在波,超臨界分岐と亜臨界分岐のいずれが選択されるかについて解析を行い、実験結果との比較を進めた。 4. 温度差のある液滴:温度差を付加した液滴内で、地上実験において,これまでに観察されたことの無い新たにいくつかの粒子集合現象を見出した. いくつかの国際会議,国内の会議において分担して研究成果の広報を行った.
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